富山ぼっち旅 その4(氷見編)

旅行

漁火ロードを南東へ

ひみ番屋街は魚介類を主とした定食処や海産物・果物・お土産屋を2つの並行する長屋の中に配置したつくりで「道の駅 氷見」の中にある。その他に寿司屋・レストラン・足湯などを備えていいる。駐車場は広く,氷見駅までは外回り内回りの循環バスがでている。

営業前の時間帯ではあるが,すでに朝の陽ざしは強く,日なたに駐車している車のボンネットに熱く反射している。2つの長屋とは独立した建物のひさしの下の長椅子に座って営業開始を待っていると,徐々にどこからともなく車や人が集まり始める。

事務所で借りた空気入れで貸自転車のタイヤ圧を調整すると,先ほど歩いて来た道に向かってこぎだした。橋を渡ってしばらく南下すると道は漁火ロードと氷見駅方面に分岐する。漁火ロードに入ると海沿いの道が南東方面につづく。海は富山湾という石川県の県境あたりから黒部市・魚津市あたりまでつづくすり鉢状の地形のため,日本海に面していても静けさを保っており,晩秋から初春あたりまではこの深く栄養分が豊富な海では”寒ブリ”や”紅ズワイガニ”が楽しめる。残念ながらこれらの旬にはまだ早かったが,すでに多くの魚介類の恩恵を受けている。

道はすこし内陸に入り,防砂林の向こう側にときおりちらちらと海面を覗かせており,木陰の中を心地よいスピードに乗って進んでいく。植物園やキャンプ場を過ぎると漁火ロードの終点となる。ここからは,内陸の住宅街や畑の中の道を進むしかなく,なるべく交通量の多い国道に出ないように気をつけて進んでいく。数回迷ったあげく雨晴キャンプ場という立て看板のあたりからまた海沿いを走っていくと,雨晴駅前に出る。

義経が雨宿りした雨晴海岸とは

奥州から京にのぼる際,越中までたどり着いた義経一行が急な雨に遭った際に雨宿りしたといわれる場所がある。そこが「雨晴海岸」という地名になっている。”道の駅 雨晴”の白亜の外観は海の碧さと周囲の緑に溶け込んでいる。1Fの自転車置き場に貸自転車を停めると,自動販売機のドリンクで乾いた喉を潤すと,国道を渡って岩場の一角にわずかにある砂浜に出てみる。

小磯のむこうに遠く立山連峰の稜線を望み,波はしずかに短い周期で寄せては返している。海にたたずむ低木を背負った岩は氷見行の気動車から見えたものだと思う。

”道の駅 雨晴”の2Fには売店とちょっとしたカフェがある。ここで暑さに耐えたからだを癒す。このあたりは内陸を北上してきた氷見線の線路と国道が交わって海に出るところで,わずかな距離を線路と国道が海に並行している。喫茶・軽食コーナーの海に面したテーブルの上には,氷見線の時刻表があるのでこの前を通過する気動車の時間がわかる。

砂浜におりる際に渡った踏切が列車の接近を知らせるために鳴り出して,南東方面からゆっくりと赤茶けた気動車が現れた。早朝に乗った3両編成の列車は高岡駅の操車場で入換えられ,昼間の時間帯は代わりに1両編成になって氷見駅と高岡駅を往復するようである。

氷見方面に一駅分来た道を戻ってから,漁火ロードに続く道を右手に見て,雨晴海岸の前の国道からもう一本内陸に入った国道を目指して,徐々に重くなってきた足を気遣いながらペダルを踏みこんでいく。小高い丘をようやく越えるとなだらかな坂道をくだった先に目指す国道が見えた。氷見方面に国道をはしると「氷見うどん海津屋」さんを見つけた。火照った身体にぶっかけうどんがやさしく沁みわたり,隣の土産売り場で乾燥うどんを求めると再び国道を北上した。

ひみ番屋街で自転車を返して循環バスに乗ると,途中の地元のスーパーに寄って夕食を買ってからホテルに戻ることにした。

(つづく)

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